英文解釈は「英文を日本語に訳す練習」だと思われがちですが、実際にやっているのは構造を決める作業です。訳文はその結果にすぎません。ここでは、1文に向き合うときの手順と、参考書の選び方を整理します。

1文を読む4ステップ

ステップ1:主節の S と V を確定する

最初にやるのは、文全体の骨格を決めることです。文頭から順に訳し始めると、たいてい迷子になります。

That the committee approved the proposal without a single objection surprised even its most optimistic supporters.

この文の主節の動詞は approved ではなく surprised です。文頭の That 節がまるごと主語になっています。「文頭の That を見たら、閉じる場所を探してから読む」——この反射ができるかどうかで、読み返しの回数が変わります。

ステップ2:節の切れ目を決める

接続詞・関係詞・カンマは、節の境界を教えてくれる標識です。

The realization that everything he had worked for could vanish overnight came to him only after the company collapsed.

that 以下がどこまで realization を説明しているのか。ここでは could vanish overnight までが同格節で、主節の動詞は came です。長い主語のあとに動詞が来るという形に慣れると、この手の文で止まらなくなります。

ステップ3:修飾関係を1つずつ決める

前置詞句・分詞・関係詞が「どの語にかかるか」を決めます。ここが曖昧なまま訳すと、日本語としては通るのに意味がずれた訳ができあがります。

ステップ4:型を確認する

比較・省略・倒置・強調構文などの「型」は、知っていれば一瞬、知らなければ何分考えても分かりません。

Some problems demand immediate action; others, patient observation.

セミコロン以下は others demand patient observationdemand が省略された形です。対句では共通する動詞が消える——この型を1つ知っているだけで読めます。

参考書の選び方・3つの基準

1. 解説が「構造の説明」になっているか

訳例と語注だけが並んでいる本は、答え合わせはできても、次の文に応用できません。「なぜその読み方になるのか」——どこが節の切れ目で、どれがどれを修飾しているか——が書かれているものを選びます。

2. 例文が短すぎないか

1行の例文ばかりだと、実際の文章にある「長い主語」「二重の修飾」「挿入」が練習できません。逆に段落単位の長文だと、どこでつまずいたのかが自分でも分からなくなります。2〜4行の1文が、構造の練習にはちょうどいい長さです。

3. 訳例が自然な日本語か

直訳調の訳例が続く本は、構造の理解には使えても、和訳のアウトプットの手本にはなりません。無生物主語や名詞構文は、自然な日本語に直す段階まで見せてくれるものを選びます。

詰まったときの対処

訳が思いつかないときは、語彙ではなく構造を疑うのが先です。全単語の意味が分かるのに文意が取れないなら、原因はほぼ構造にあります。

それでも動かないときは、次の順で確認します。

  1. 主節の動詞はどれか(-ing / -ed を動詞と誤認していないか)
  2. 節がどこで閉じているか
  3. 省略されている語はないか(対句・比較の後半に多い)
  4. 通常と語順が違っていないか(倒置・強調構文)

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