「英語で経理をやることになった」「USCPAを受けたいが英語に自信がない」——このとき最初に知っておくといいのは、会計英語は覚える範囲が驚くほど狭いということです。
日常英会話は話題が無限に広がりますが、財務諸表に出てくる語は決まっています。勘定科目・注記・監査報告書は、どの会社でもほぼ同じ言い回しの繰り返しです。つまり、有限の語彙を潰せば読める世界です。
まず財務諸表の名前から
balance sheet/statement of financial position— 貸借対照表income statement/statement of operations— 損益計算書statement of cash flows— キャッシュ・フロー計算書statement of stockholders' equity— 株主資本等変動計算書notes to the financial statements— 注記
statement of financial position はIFRSでよく使われる呼び方で、指しているものは貸借対照表と同じです。同じものに複数の呼び名があるのが会計英語の第一の壁で、逆に言えばそれさえ知っていれば読めます。
頻出の勘定科目
貸借対照表と損益計算書に並ぶ語は、ほぼこの範囲に収まります。
accounts receivable売掛金 /accounts payable買掛金accrued liabilities未払費用 /prepaid expenses前払費用inventory棚卸資産 /property, plant and equipment有形固定資産goodwillのれん /intangible assets無形資産retained earnings利益剰余金 /additional paid-in capital資本剰余金deferred tax assets繰延税金資産revenue収益 /cost of goods sold売上原価 /operating expenses販管費
receivable(受け取るべきもの)と payable(支払うべきもの)のように、接尾辞から意味が取れる語も多いので、丸暗記より語の作りを見るほうが早く覚えられます。
動詞のほうが差がつく
科目名は調べれば出てきますが、実務で読み書きするときに効いてくるのは動詞です。
recognize認識する(revenue recognition収益認識)accrue見越計上する /defer繰り延べるcapitalize資産計上する ⇔expense費用処理するdepreciate(有形)/amortize(無形)償却するimpair減損する(impairment loss減損損失)reconcile照合する(bank reconciliation銀行勘定調整)disclose開示する /restate修正再表示する
capitalize を「大文字にする」としか知らないと、These costs were capitalized.(これらの費用は資産計上された)で必ず止まります。一般英語での意味と会計での意味が違う語は、会計側の意味を別に覚えておく必要があります。material(重要な)、provision(引当金)、security(有価証券)、consideration(対価)などが典型です。
監査は定型表現の塊
監査報告書と監査論は、言い回しがほぼ固定されています。ここは覚えたぶんだけそのまま得点・実務に直結します。
material misstatement重要な虚偽表示reasonable assurance合理的な保証internal control over financial reporting財務報告に係る内部統制tests of controls統制テスト /substantive procedures実証手続audit evidence監査証拠 /samplingサンプリングgoing concern継続企業の前提unqualified opinion/unmodified opinion無限定適正意見qualified opinion限定付適正意見 /adverse opinion不適正意見 /disclaimer of opinion意見不表明
意見の4種類(無限定・限定付・不適正・意見不表明)は、英語のまま丸ごと覚えてしまうのが結局いちばん早いです。
経理の現場で使う言い回し
month-end close/year-end close月次決算・年次決算journal entry仕訳 /trial balance試算表variance analysis差異分析write off償却する・貸倒処理するbook計上する(We booked the expense in June.)
外資系の経理でメールに出てくるのは、この層の口語的な表現です。教科書の用語とは少し違うので、両方に触れておくと安心です。
USCPAに必要な「英語力」とは
USCPAの受験を考えている方からよく聞かれるのが、「TOEIC何点あれば足りますか」という質問です。実際に必要なのは、点数よりも次の2つです。
- 会計用語を英語のまま処理できること(日本語に訳してから考えない)
- 長い1文の構造を取れること(問題文には条件が重なった長文が普通に出ます)
1は語彙の問題なので、範囲が有限である以上、時間をかければ必ず埋まります。2は会計とは無関係の読解力で、こちらが弱いと用語は分かるのに問題文の条件を取り違えるという形で失点します。会計の勉強と並行して、英文の構造を取る練習をしておくと効きます。
練習に使えるもの
- USCPA英単語 — 現行試験の6科目(FAR 330/AUD 160/REG 200/BAR 120/ISC 90/TCP 100)にそって整理した1,000語。科目別フラッシュカード、無料・登録不要
- 英文解釈トレーニング — 長い1文の構造を取る練習。全200問・全文訳つき
- 法律英単語 — REGや契約まわりで重なる領域。全1,000語
単語の例文と対訳はKindle版『USCPA頻出英単語1000』にまとめています(Kindle Unlimited 対象、Anki用データの読者特典つき)。
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